気功を習ったときは、あんなに毎日やっていたのに。
気づいたら、プルプルもしなくなって、遠隔もやらなくなっている。そして、「ああ、私はやっぱり続かない人間なんだ」と、自分を責めてしまう。
もし、そんな経験があるなら、今日はその逆のことをお伝えしたいと思います。
気功が続かないのは、あなたの意志が弱いからではありません。「独りで頑張る気功」という、そのやり方のほうに、そもそも無理があるのです。
「独りで頑張る気功」に無理がある理由
頑張るほど、気功は”重く”なる
多くの方が、気功を「自分ひとりで、コツコツ、根性で続けるもの」だとイメージしています。けれど、ここに落とし穴があります。
プルプル気功をするとき、歯を食いしばって「よし、頑張って震えよう」とすればするほど、気功は重くなっていきます。
逆に、楽に、深く入っていく人は、こう受け取っています。「自分が頑張って震えている」のではなく、「気の働きが、こちらに来てくれて、今、震えさせてくれている」。同じプルプル気功でも、この入り方の違いで、まったく別のものになるのです。
自力で出す気には、”上限”がある
自分の力だけで気を出そう、出そうとすると、どうなるか。自分のポテンシャルの、上限で頭打ちになります。そして、消耗します。
これは、こちらが必死に上へ、上へと登っていく道です。頑張り続けないと落ちてしまうから、苦しい。クラスに通っているあいだは気合いが入って毎日できたのに、卒業して独りになった瞬間、すっとやらなくなってしまう。これは意志が弱いからではなく、「独りだと、構造的に続かない」だけなのです。
独りだと、なぜ続かなくなるのか
「合っているのかな」の確認がない
独りで練習していると、「これで合っているのかな」という不安が、ずっと消えません。確認できないと、だんだん臨場感が下がっていって、気そのものも動かなくなり、やらなくなっていきます。
独りでいると”自我”が戻ってくる
でも、もっと根っこに、大事な問題があります。独りでやっていると、「自我」がだんだん強くなってくるのです。
気功でいちばん大事なのは、「気を操作しよう」という感覚を手放すことです。習っているあいだは、それができていた。ところが独りに戻ると、自我が邪魔をしてきて、少しずつ「気を操作して、どうにかしよう」とする、習う前の自分に戻っていってしまう。
しかも、いちばん厄介なのは、自分が「頑張って操作しようとしている」こと自体に、自分では気づけないことです。
先日セッションをさせていただいた方も、まさにそうでした。せっかく「委ねる気功」を身につけたのに、いつのまにかそれを忘れてしまっていた。そして、それには独りでは気づけず、誰かに見てもらって、初めて「ああ、私、また頑張ろうとしていたんだ」と気づけたのです。
家族に「効かない気がする」のは、なぜか
もう一つ、よく聞く悩みがあります。「友達には効く気がするのに、家族に遠隔をやっても手応えがない」と落ち込む方が、とても多い。
これも、実は同じ根っこです。家族というのは、結局「自我の一部」なのです。
家族が元気で、病気にならずに稼いでくれたら、自分も助かります。どこかで、自分のメリットが混じっている。一方、見ず知らずの人を助けるのは、必ずしも自分の得にはならないので、純粋な利他の心になりやすい。
だから、見ず知らずの相手にこそ気がすっと通って、身近な相手ほど、自分の期待や自我が邪魔をして、手応えとして返ってきにくいのです。家族のヒーリングが難しいのは、あなたの腕が悪いからではなく、この「自我」の問題なのです。
つまり、独りの練習も、家族へのヒーリングも、根っこは同じ。「自我が前に出ると、重くなる」という、同じ構造なのです。
独りで頑張るのをやめる ―― 同行二人(どうぎょうににん)という見方
「もっと頑張ろう」「習慣化のコツを身につけよう」――そういう方向では、この問題は解決しません。頑張るほど自我が出て、重くなっていくのですから。
修行しているのは、あなた一人ではない
ここで、密教の言葉を一つ紹介させてください。「同行二人(どうぎょうににん)」。四国のお遍路さんの背中に書かれているのを、見たことがある方もいるかもしれません。
一般には「お大師さん、空海さんが一緒に歩いてくれている」という意味だと理解されています。けれど、密教の眼目はもう少し深いところにあります。「修行しているのは、あなた一人ではない」。言いかえれば、「修行というのは、そもそも独りでは成り立たない」ということを言っているのです。
顕教と密教、自力と他力
顕教というのは、こちらが上へ上へと登っていく道です。自力の道。密教は逆で、向こう、つまり仏の側から、こちらへ迎えに来てくれている道。他力の道であり、加持の道です。
自力だけで出す気には、上限があります。けれど、「独りではない」と構えが変わった瞬間に、その上限が外れるのです。だから、大事なので繰り返します。あなたはもう、独りで練習しているのではありません。
今日からできる、たった一つのこと
気功が続かないのは、意志が弱いからではありません。「独りで頑張る」というやり方に、無理があった。ただ、それだけです。
今日から、たった一つ、やってみてほしいことがあります。プルプル気功をするとき、「自分が頑張って震える」のをやめて、こう受け取ってみてください。
「自然の気が、私の体を通して、今、震えさせてくれている」。
ありがたいなあ、という気持ちで、ただ、任せてみる。それだけで、気功はふっと軽くなります。頑張って続けるものから、迎えられて、満ちて還ってくるものに変わっていきます。
あなたは、独りではありません。
こんな音声コンテンツもやっています
気功は、続ければ続けるほど上達していくものです。ポッドキャスト『満ちて帰る気功』では、気功・仏教・密教の視点から、心と体の力みをゆるめ、本来の自分へ還っていく話を、ゆっくりとお届けしています。 「この先生の話を、もう少し聞いてみたい」と思ってくださった方は、ぜひ聴いてみてください。 ▼ポッドキャスト『満ちて帰る気功』(Spotify)




