気功や瞑想を始めてみたら、なんだか逆に体調が悪くなった。腰が痛い、だるい、眠れない——。「これ、私に合ってないのかな。やめたほうがいいのかな」。そう感じて、不安になっていませんか。
先にお伝えします。その不調、じつは”効き始めた”サインかもしれません。悪くなったのではなく、これまで隠れていた気の滞りが、動き出して表に出てきただけ——ということが、よくあるんです。今日は、気功を始めて不調が出たときの「本当の理由」と、”続けていい不調”と”すぐ医療機関へ相談すべき不調”の見分け方を、やさしくお話しします。読み終わる頃には、その不安が、少し軽くなっていると思います。
気功を始めて不調が出た…それ「合わないサイン」ではないかもしれません
気功や瞑想を始めた方が、続けているうちに、原因のわからない不調を感じることがあります。すると多くの人が、こう考えます。「不調が出た=この気功は自分に合わない、体に悪い、だからやめよう」。
気持ちは、とてもよく分かります。よかれと思って始めたのに、逆に調子が悪くなったら、不安になりますよね。でも——ここで、いちばんもったいない選択が、「やめてしまうこと」なんです。なぜ、そう言えるのか。ひとつ、実際にあった話をさせてください。
実際にあった話——「原因不明」に思えた不調の正体
ある50代の男性の生徒さんの話です。
その方は、小周天という気功を練習したあと、背中全体が痛くなり、やがて右側だけが痛むようになりました。おかしいのは、水はたくさん飲んでいるのに、トイレの回数が極端に減っていたこと。ご本人は「これは腎のあたりかな」と、見当をつけました。
腰に手を当てたら、そこだけが温かくなった
痛くて、瞑想もプルプル気功も長くは続けられない。それでも少しずつ良くなってきて、あるとき、ご自分の腰に手を当ててみたそうです。すると——そこだけが、すごく温かくなって、スーッと楽になった。最初は「気のせいかな」と思ったけれど、何度やっても、明らかに痛みが引く。それで初めて、「気って、本当にあるんだ」と実感された。
これは、本当に素晴らしい体験です。そして、ここから読み取れることが、いくつもあります。
よく内省すると、ちゃんと原因があった
この不調、最初は「原因不明」に思えました。でも、よくよく内省してみると、ちゃんと原因があったんです。
発端は、旅行の日。普段は一日二食のその方が、その日は五食、塩分の多いものも含めて、飲み食いが激しかった。すると、こういうことが起きます。普段、お腹に負担をかけていない人に、急に大きな負担がかかる。お腹の循環(気血の巡り)が落ちる。血の巡りが悪くなって、冷えが起こる。
東洋医学的に言えば、体が順調なら、余分な水分はお小水(尿)として、ちゃんと出ていくはずです。それが減っていた、ということは、水を巡らせる力が落ちて、お腹や腰が冷えていた、ということなんですね。
だから正確には、「原因不明の不調」ではありません。”原因不明だと思っていたけれど、内省したら、原因がはっきり分かった不調”。ここが、とても大事なところです。
なぜ、気功を始めると不調が出るのか——”効き始め”という見方
40代・50代くらいの方が気功を始めると、こういう不調が、よく出てきます。理由は、とてもシンプルです。——気が、動き出したからなんです。
私たちは長年、体の滞りを見過ごして生きています。その眠っていた滞りが、気が巡り始めたことで、動き出す。動くときに、痛みやだるさとして感じられる。だから、「悪くなった」のではなく、ずっと隠れていたものが、表に出てきた(顕在化した)——と考えるほうが、正確なんです。
そして、温かく感じたことも、大事なヒントです。気の反応で「温かく感じた」ということは、ふだん、そこが冷えている、ということ。だから、より日常的に、腰を冷やさないことです。水を白湯にする、冷房に当たりすぎない、夏でも少し長ズボンをはいてみる。そんなちょっとした工夫が、そのまま養生になります。
いちばん大事なこと——”気づくこと”が、もう自己ヒーリング
今日、いちばんお伝えしたいのは、ここです。——”自覚すること”そのものが、もう自己ヒーリングになっている、ということ。
なぜなら、自覚することで、”原因不明”だった不調が、”原因の分かる”不調に変わるからです。原因が分かれば、対処できる。さきほどの生徒さんも、冷えに気づいて腰に手を当て、実際に楽になりました。これはもう、立派なヒーリングなんです。
人間の自然治癒力は、自覚することで働き始めます。ふだん無自覚だったところに気づけるようになる——それ自体が、じつは前進なんですね。自分の体と向き合って、無自覚だった不調に気づけたなら、その時点で、もう治りはじめています。
やめてしまうのが、いちばんもったいない
だからこそ、ここでやめてしまうのが、いちばんもったいない。
せっかく、気が動いて反応が芽生え始めているのに、そこで気功をやめてしまうと、余計にその不調に気づきにくくなって、また滞りが隠れてしまう。気づく機会そのものを、失ってしまうんです。
ですから、少々体調が悪くても、気功はむしろ続けたほうがいい。続けることで気の巡りを良くして、体調をやわらげていく。この方向が、いちばんいいと、私は考えています。
好転反応か、そうでないか——続けていい/医療機関へ の見分け方
とはいえ、「何でもかんでも好転反応」で片づけてしまうのは、危険です。ここは、はっきりお伝えします。見分けの目安を持っておいてください。
好転反応と考えていい目安
症状が、あまり変わらない。あるいは、波がある(良くなったり、戻ったり)。そして、長くは続かない——これが目安です。好転反応は、2〜3週間も、1ヶ月も続くようなものではありません。だいたい1週間以内、多くは2〜3日で、症状が軽くなってきます。
すぐ医療機関へ相談すべきサイン
一方で、本当にまずい不調は、だんだん、だんだん悪化していくものです。痛みが、どんどん強くなっていく。そういうときは、迷わず医療機関を受診してください。
重篤な病気が隠れていないかを判断できるのは、お医者さんという専門家です。しっかり鑑別診断してもらって、「問題なし」となれば、それこそ安心して、そのまま気功を続けられます。だから、医療機関も、遠慮なく頼ってください。
医療ケア・健康ケア・ウェルネスケアを、バランスよく
私がいつもお伝えしているのは、医療ケア・健康ケア・ウェルネスケア、この三つを、バランスよく実践してほしい、ということです。気功は、そのうちの一つ。病院を否定するものでは、まったくありません。自分自身の健康ケアと、専門家の医療ケアを、上手に組み合わせていってください。
今日からできる一歩——体を丁寧に観察する
では、今日からできる一歩を、二つ。
ひとつは、自分の体を、丁寧に観察すること。どこが温かくなるか(=冷えている場所)、どこが重く感じるか(=動かなさすぎている場所)。どういうときに楽になって、どういうときに悪くなるか。良くなる要因(寛解因子)と、悪くなる要因(増悪因子)を、少しずつメモしていくと、それがそのまま、あなただけの養生法になっていきます。
もうひとつ。不調が出たら、体調が悪くなる前の生活習慣が、どうだったかを、しっかり自己観察してみてください。食べすぎ、冷え、疲れ、知らないうちの脱水——内省してみると、”原因不明”だと思っていたものに、たいてい、原因が見つかります。気づけた時点で、もう治りはじめています。
まとめ——不調は”合わないサイン”ではなく”効き始め”かもしれない
まとめます。
気功を始めて出た不調は、”合わないサイン”ではなく、”隠れていた滞りが動き出した、効き始めのサイン”かもしれません。見分けは、だんだん悪化するなら、病院へ。波がある・数日で軽くなるなら、続けながら、整えていく。
そして、いちばん大事なのは、自分の体と向き合って、気づくこと。気づいた時点で、あなたの体は、もう整いはじめています。焦らなくて、大丈夫です。
なぜ、この見分けは一人だと不安になりやすいのか
最後に、正直にお伝えしておきたいことがあります。この「好転反応か、そうでないか」の見分けは、一人だと、どうしても不安になりやすいものです。
「これは続けていいのかな」「様子を見ていて、大丈夫かな」。その判断を、たった一人で抱えるのは、心細いものですよね。自分の体に、いま何が起きているのか——それを、いったん誰かと一緒に観てもらえると、ずいぶん安心できます。気の反応の読み方、温かさや緩みが何を教えてくれているのか。そこに、もう一つの視点が加わると、不安は「観察」に変わっていきます。
不調を、敵にしない。体の反応を、味方にする。その感覚が身につくと、あなたの気功も、暮らしも、少しずつ、軽くなっていきます。
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