誰しも、過去の嫌な思い出にとらわれたり、不幸な未来を思い煩った経験はあると思います。
その経験が心に傷を負うほどのものであれば、傷を癒し克服していくことは容易ではないと思うかもしれません。
イタリアの医師の論文では、心にトラウマを抱えると、脳の特定の部位にきちんと傷ができ、その数年後に脳の傷と相関関係のある身体の部位に癌ができるということが、追跡調査の結果わかっているそうです。
精神衛生状態を良好に保つことは体の健康にとっても重要になってきます。ですのでうまく心が管理できれば健康を享受できるということなのです。
心を管理し、心身を健康に保つ上で重要な概念として覚えておくべきことはたった一つです。
それはプラシーボ効果です。プラシーボ効果とは何かを理解するだけでも心の管理ができます。またプラシーボ効果と反対の意味で使われるノーシーボ効果についても理解することができます。
プラシーボ効果は気によって病が治癒していく現象そのものなのです。
今回の記事では、心の傷を癒すプロセスとして、あなたの生活にプラシーボ効果をもたらすための智慧をふんだんに盛り込んでいきます。ぜひ参考にしてみてください。
プラシーボ効果とは?
そもそもプラシーボ効果とは何なのかについて説明していきたいと思います。
プラシーボ効果とは、肯定的思考によって健康を増進させる現象のことを言います。そして全てを受け入れていくという意味も込められています。
元々は偽薬効果として知られています。権威あるお医者さんが、「この薬は良く効くからね」といって患者さんが「もう大丈夫だ」と安心すれば、それが砂糖の錠剤やただのビタミン剤であってもあらゆる症状に対して効いてしまうという臨床結果があるのです。
そうなってくると、実際に薬効を研究している人たちにとっては迷惑な生命現象を明らかにしてしまったといってもいいかもしれません。
製薬会社は一生懸命になって、生体を構成する、あるいは症状の原因となる要素に対して働きかける化学物質を組み合わせたりして薬を作っています。
例えば抗ヒスタミン剤というものがあります。もともと人体にはヒスタミンという物質があります。腕や足に分布している血管中にヒスタミンという物質が存在していると、それがストレスのシグナルとなって血管壁を構成する内皮細胞の間に大きな隙間ができます。それがきっかけとなって局所的な炎症反応が起きるのです。
一方、脳内でこのヒスタミン物質が存在すると、同じヒスタミンなのに腕や足の血管での働きをは違う様相を見せてくれます。脳内においては、脳の神経であるニューロンへの栄養を供給したり成長させたり、特殊な機能を改善・促進させたりするのです。
ヒスタミンの作用というのは、身体の部位によって違ってくるということです。
コンビニの仕事でヒスタミン放出!?
コンビニの定員さんをみていればヒスタミンが脳内で放出されているのが良くわかります。先ほど言いましたが、脳内でヒスタミンが存在していると、神経の働きを促進し、脳が活性化して、差し迫った緊急事態にうまく対処できるようにしてくれます。
コンビニはあらゆるタスクを処理しつつお客様がレジに並んだら接客しなければなりません。でも基本お客さんがいなかったら暇なのです。
ところが近所で花火大会などが開催された後の夜の時間になると、尋常じゃないくらいお客さんが流れ込んでアイスを買っていくのです。緊急対応しなければいけないストレス状態になった時は、コンビニの定員さんの脳内ではヒスタミンが多く存在しています。これで見事に多くのお客様をさばきながらその時間に処理しなければいけない他の仕事も見事にこなしていくのです。
ヒスタミンは炎症反応の原因となる物質ですが、脳内で働くと、とても便利な物質なのです。もちろんコンビニの定員さんはヒスタミンによって神経の働きが良くなっているのですが、皮膚に痒みはありませんし炎症反応は起きていません。これを部位特異性と言います。
薬剤ではできない人体に備わる部位特異性
話を抗ヒスタミン剤に一旦戻しましょう。
炎症反応として有名なのはアレルギーの症状ですね。確かに抗ヒスタミン剤はアレルギー症状を劇的に軽減させてくれます。それは炎症反応の元となっているヒスタミンに拮抗する薬剤を使っているので当然ではあります。
ところが、抗ヒスタミン剤は全身の血管を巡って働きかけます。アレルギー症状が出ている局所レベルでの血管にだけ働けばいいのですが、都合よくはいきません。
同じように抗ヒスタミン剤は脳内にも働いてしまうので、処方された経験のある方はご存知かもしれませんが、アレルギー症状は回復するが、副作用として眠くなってしまうのです。ヒスタミンの働きが脳神経の働きを良くするので、それに拮抗する抗ヒスタミン剤を使うと眠くなるということです。
眠くなる程度の副作用ならまぁ良しとしてもいいかもしれませんが、私は、体にとって必要な物質を阻害してしまったことによって起きる身体反応を考えるだけで少し恐ろしいと思ってしまいます。
高齢者というのは、薬を10種類以上服用している方も多くいらっしゃいます。そういう方ほどよくわからない原因不明の症状に襲われたりしています。特発性血小板減少性紫斑病というものがあるのですが。これは原因不明の病と言われていますが、薬の組み合わせによる副作用によって起きているのでないかとも思ってしまいます。
クスリにはリスクがあるのです。
それは仕方のないことです。薬剤とはそういうものです。局所的に薬剤が働いてくれれば問題ないのです。ぜひ局所的に働きかけることができ、副作用のない薬剤を開発してもらいたいところですね。
しかし、人間がそのような薬を開発するまでもなく、生体のシグナルシステムは局所的に働くように元々できているのです。それを部位特異性と言います。
漆にかぶれて腕が腫れると、とてつもなく痒くなってきます。これはヒスタミンがかぶれている場所に存在しているからです。ここが人体のすごいところです。ヒスタミンを全身に放出するのではなく、ストレスがあったところの局所的な部位にだけヒスタミンを放出させるので、全身が痒くなるということは起きないのです。そしてわざわざヒスタミンを脳内にも放出させて神経の働きを良くしたりすることもないのです。脳の働きを良くするエネルギーがあるんだったら、炎症反応を起こして白血球を局所に集めて、かぶれた細胞を正常細胞に戻すことにエネルギーを費やした方がはるかに効果的です。
人体の働きというのは薬以上に素晴らしいものなのです。
医薬品には部位特異性はなく、人体には部位特異性がある、ということをまずはしっかり理解しておいてください。ここを理解しておくと、わかってくることが徐々に出てきます。
もしもプラシーボ効果と薬効の働きが大して変わらないのであれば、あなたはどちらを選びますか?
今書いてきたように、医薬品による薬効というものは、失礼な言い方かもしれませんが、簡単にいうと人体のシステムに比べるとだいぶ乱暴な働き方だと思います。部位特異性がないのですからね。この乱暴な働きの結果、副作用が起きているのです。
でもプラシーボ効果で薬効と同じ効果があるとわかったのならば、副作用のないプラシーボ効果に軍配が上がるのではないでしょうか?
これは別に薬を否定しているわけではありません。合理的に考えてみたら普通に導き出される答えなのですからね。でも副作用というものが何かをしっかり理解して薬を使うのは何の問題もありません。あなたの自己責任で利用すればいいと思います。
もう少し薬のことについて理解していきましょう。先ほどはヒスタミンと抗ヒスタミン剤についての話でしたが、女性にとっては気になるホルモン剤についてです。
女性の閉経に伴って起きてくる更年期障害に対して、合成エストロゲンの処方が当たり前に行われています。医療者の立場に立って考えると、なるほど、当たり前のようにエストロゲンを補充しないといけないな、という発想になるのはわかります。
エストロゲンは女性の生殖機能に影響を与えているホルモンですね。エストロゲンとプロゲステロンは女性の生理周期と密接に関わり合いながら拮抗的にそれぞれのホルモンが分泌されています。女性は嫌という程このホルモンが分泌している時の体の反応は知っているはずです。私は男性なのでよくわかりません。
閉経すると女性ホルモンは当然低下していくわけですから、エストロゲンが減少して更年期の症状が出ている、と医学の世界では考えますのでホルモン補充療法をするのは当たり前なのです。
ところが、エストロゲンを受容するレセプターは生殖器だけに限らないということがわかってきました。血管や心臓や脳の日常的に使っている部位にもエストロゲンレセプターがあるのです。生殖器だけに働いてくれる薬剤なら問題ないかもしれませんが、部位特異性の話を思い出してください。薬剤には部位特異性はないのです。
つまり、医薬品として用いられている合成エストロゲンは、目的にしている組織以外にも働きかけます。具体的に言えば心臓や血管や神経系統です。
ということは、合成ホルモン補充療法によって、心血管疾患や脳卒中などの神経系統の機能不全を起こすリスクがあるのはいうまでもないことですね。リスクは必ず起きるというものではないのですが、わざわざ健康に関してギャンブルをする必要はあるのでしょうか。
処方薬の副作用によって逆に病気になることもあるリスクを背負っているということを十分に理解してください。専門的には医原病と呼ばれているものです。
医原病はアメリカ人の死因第3位
実際にジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(アメリカ医師会雑誌)に発表された見積もりによれば、アメリカ人の死因第3位は医原病だということなのです。2000年の時点ではアメリカ人の12万人以上が処方箋の副作用で死亡したということになっています。
でもどの統計でも言えることですが、実際の数はわかりません。もしかするともっとたくさんの方が薬のリスクによって命を落としているかもしれません。ある統計では年間30万人が医原病で亡くなっているというデータもあります。もし年間30万人の命が医原病によって亡くなっているのならば、衝撃的な事実です。
何はともあれ、薬による副作用によって死亡するリスクを背負っているという事実に変わりはありません。薬の副作用について知りたい方は、「医薬品添付文書」とネットで検索し、服用しているお薬の名前を入力するだけで様々なデータを閲覧することができます。
アメリカ人が代替療法を利用する理由がわかる!
今まで話してきたことを合理的に考えて素直に答えを出そうとすると、プラシーボ効果を利用した治療法の方がはるかにいいということがおわかりいただけたかと思います。
そりゃそうです。プラシーボ効果には副作用はありません。クスリにはリスクがあります。プラシーボ効果とクスリの効果が同じであればリスクを取らない選択の方に軍配が上がります。
アメリカではプラシーボ効果にいち早く着目した人が現れ、国民に広まり、1990年代にはアメリカ国立衛生研究所内に代替療法を研究する機関が設置されるまでに至りました。
なぜ国が動いたか?それは国民の一人一人の意識が変わって行動が変わったからです。
あなたはいつまでも権威ある人や指導者やお医者さんに頼っていませんか?それではいつまでたっても社会は良くなっていきません。もちろん病気も良くなっていきません。
医学の世界では洋の東西を問わず病気が治る仕組みに関する結論は一致しています。それは患者さん自身の自然治癒力でしか病気は治癒しない、ということです。
症状は好転反応であり、病気が治癒してしていくために必要なステップであるということです。西洋では「症状の苦しみ自体が個体の自然治癒力を下げてしまうぐらいなら、症状を一旦沈めて患者さんの体力と治癒力が働くまで様子を観察する」という手法です。
そもそも西洋医学の治療法はもっとたくさんありました。
- ナチュロパシー(自然療法)
- アロパシー(薬物療法)
- オステオパシー(整体療法)
- ホメオパシー(同種療法)
- サイコオパシー(心理療法)
などがありましたが、なぜかアロパシーばかりが治療法としてメジャーになっていきました。
東洋ではむしろ自然治癒力にダイレクトに働きかけ、症状をいち早く出してしまう手法がメインとなっています。目的は一緒ですが手段が違うだけです。
自然治癒力を上げるために最も効果的なのがプラシーボ効果を利用したあらゆる方法論なのです。それがアメリカにおける代替療法が盛んに利用され始めた背景にあるのです。
代替療法だけでなく、現代医療の現場で働き、実績を出している医師・看護師・助産師はプラシーボ効果をふんだんに取り入れています。別に方法論はなんでもいいのです。現代的な療法であったり、薬を処方するという形であったり、手術であってもいいのです。
心が前向きになり、大丈夫だと確信していく方向にサポートしていくチームさえ組めればプラシーボ効果そ存分に発揮できる最先端医療となります。まずはあなたが素直に「必ず治るんだ」と医療に対して信頼し、受け入れることが重要です。
怖かったり不安になったりという気持ちをないがしろにするのではなく、まずは受け入れて肯定してあげることからプラシーボ効果が始まります。医療従事者に納得のいく答えが聴けるまで質問ぜめにしてもいいでしょう。良心的な方であれば親身になって質問に答えてくれます。
安心できる情報が得られれば、プラシーボ効果が働き、心を管理していく土台が出来上がります。
ノーシーボ効果とは?
プラシーボ効果が、肯定的思考によって健康を増進させる効果があるのならば、逆向きの効果も現象としてはあります。それがノーシーボ効果といいます。
ノーシーボ効果は、否定的思考によって健康を害してしまうことです。
プラシーボ効果やノーシーボ効果があなたに伝えたいメッセージは一つだけです。それは、あなたが信じた通りに現実化してしまうということです。
ここでマハトマガンジーの言葉を引用させてください。
信念が変われば 思考も変わる
思考が変われば 言葉も変わる
言葉が変われば 行動も変わる
行動が変われば 習慣も変わる
習慣が変われば 人格も変わる
人格が変われば 運命も変わる
この言葉を事あるごとに自分に言いきかせてください。あなたが望むにせよ、望まないにせよ、できると思ったにせよ、できないと思ったにせよ、現実は信じた通りになります。
現実に対して否定的なものを信じてしまったら、ノーシーボ効果が顔を出すのです。
本当は食道がんではなかったのに食道がんだと信じて死亡した事例
ノーシーボ効果の潜在力を示す事例があるのでご紹介いたします。
あるお医者さんが、退職した靴のセールスマンのロンドという方を診察しました。診断の結果、食道がんを患っており、あとは死を待つだけです、という診断でした。それでもがんに対する治療が施されましたが、医師や看護師、そしてロンドは食道がんが治らないと「信じて」いました。
診断が下ってから数週間後にロンドは亡くなり、当然のこととして受け止めていました。ところがロンドの死後、驚くべき事実が判明したのです。
解剖の結果、ロンドは食道がんで死んだのではないとわかったのです。食道には全くがんが見当たらず、本当に小さい命に別状のないくらいの腫瘍が肝臓に数カ所と、肺に一ヶ所あるだけだったのです。
つまり、食道がんが死因ではなかったのです。
ロンドの事例は最悪の結果ではありますが、小さい影響ながらもノーシーボ効果は臨床の現場で当たり前のように起きています。
あるお医者さんから聞いた話ですが、うつ病の患者さんで、薬が効かない人のほとんどが、否定的思考の方なのです。そしてお医者さん自身も否定的思考によって「治るのが難しい」と思っていると、それが患者さんの無意識に伝わってノーシーボ効果を生み出してしまっています。患者さん自身も「治らない」と信じているので薬も効かないというのです。
逆に精神疾患が治癒していく患者さんというのは、薬を使おうが使うまいが、楽観的に肯定的思考によって「必ず良くなる」と信じている患者さんだったのです。
現場のお医者さんは薬の限界を知っていますし、副作用の恐ろしさも現場で目にしているのです。
あなたが医療にお世話になるときには、プラシーボ効果とノーシーボ効果が常にあなたを監視していると、よくよく注意した方が良さそうですね。場合によってはロンドのようなケースになることもあります。これがノーシーボ効果の最も恐ろしいところです。
看病している家族は、楽観的に「大丈夫」と確信してあげること
プラシーボ効果・ノーシーボ効果はどこにいても常に働いています。もしも癌を患っているご家族や友人がいるならば、あなた自身がノーシーボ効果をもたらしてしまう存在にならないように注意しましょう。
やることはとても単純です。必ず治ると心の底から確信することです。そして楽観的になることです。
それだけで相手の無意識に伝わっていきます。まさにこれが気功なのです。家族や友人に信頼されている人であれば、気の影響はとてつもなく強くなります。信頼しているお医者さんであればなおさらです。
根拠のない確信で大丈夫です。先ほど食道がんではなかったロンドの事例をお話ししましたが、癌ではなく、ノーシーボ効果によって亡くなってしまったということを思い出してください。
「死んでしまう」と信じればノーシーボ効果、「生きる」と信じればプラシーボ効果が現象として現れるのです。そこに理由や根拠は必要ないということも理解しておきましょう。だってロンドは食道がんではなかったのですからね。
心の傷を癒していくステップ
一通りプラシーボ効果とノーシーボ効果について説明してきました。心の習慣がいかに身体に影響を与え、人生に影響を与えているかがお分りいただけたかと思います。
つまり、プラシーボ効果が働くように習慣的に身につければ、徐々に心の傷も癒されて体も元気になっていきます。そのためには段階を踏んで徐々にレベルアップしていく方が簡単で無理なく心身にとって良い習慣を身につけていくことができます。
ステップとしては以下の通りです。
- 全てを肯定的に受け入れ、起きた出来事や事実をありのままに観察していくこと。
- リラックスして「全て上手くいっている」と自分に語りかけていく。
- 否定的思考が生じてきたら放っておいて軽く手放すこと。
- 1~3を繰り返す。
何も難しいことはありません。ノーシーボ効果が起きないように、そしてプラシーボ効果が自然に発生するようなステップになっています。
全てを肯定的に受け入れ、起きた出来事や事実をありのままに観察していくこと
起きてしまった出来事に対してくよくよ思い出して悩んでいるということは、その事実を受け入れたくないというあらわれですので、否定的思考になってしまっています。そうなるとノーシーボ効果になってしまいます。
良くポジティブ思考がいいという風に言われていますが、注意してほしいことがあります。ポジティブ思考自体は特に問題はありませんが、自分の本当の気持ちを偽ることはオススメしません。
自分の気持ちを偽るということは否定的思考であり、ノーシーボ効果になるのです。ポジティブであろうがネガティブであろうがその気持ちを認めて受け入れるということが肯定的思考なのです。
例えば過去に嫌な出来事が起きたとします。それを今思い出したら、「あんなに辛い環境にいたんだから、こういう気持ちになるのは当たり前だよね」と受け入れてあげてください。
この時はできる限り自分のことだけを見つめてあげてください。相手が憎いと思うのはよろしくないのですが、もしもその気持ちが湧いてきたら受け入れましょう。それと同時に憎しむ気持ちだけはないはずです。憎しみは相手に対する気持ちです。
憎しみを持っている自分のことに対してもいろんな感情が湧いているはずです。それもしっかり観察して認めてあげます。
「偽らないこと」というのがキーワードになってきます。自分の気持ちに蓋をして抑圧してしまうと、いつまでも自分の課題をクリアできないのです。どんな職場を経験しても嫌いな上司が目の前に現れるようになります。あるいはどんな相手と恋愛しても同じことが原因で別れて相手を嫌いになったり嫌われたりします。
そして、子に実践を通して気づいてほしいことがあります。
あなたの心が全てを生み出している、ということなのです。
あなたが嫌いだ、嫌だと思っている人物や出来事に対して全く違う解釈をする人もいます。それは心が決めていることなのです。
心が現象を生み出しているということは、心の状態を観察していくことではっきりと理解し体感できるようになってきます。全てはあなたの心次第なんだと。あなたの心に写っているものが現実世界なんだと。
それがはっきりと理解できるまでは、ステップ1をひたすら実践してみてください。冷静に客観的に自分の心の状態を観察できる能力が養われてくると自然と気づいていきます。
気功を実践する際は、ひたすら心と体をリラックスさせることから始めますが、その理由はステップ1を実践するためでもあるのです。リラックスした状態だと、冷静に客観的に理性でもって自己観察ができるようになってきます。
すると世界は自分の心に映し出された鏡であるとはっきりとわかります。そこまで達すればあとは簡単です。自然と次のステップに進んでいくことができます。
リラックスして「全て上手くいっている」と自分に語りかけていく
現象をありのままに観察することができるようになると、全ては心が作り出したものであることが体感として理解できてきます。であれば心をいかに自由にしていくかという方向にエネルギーが使われていきます。
あとは脳と心を自分で自由に再プログラミングしていけば、問題は解決です。何が起きても、いつでもどんな時でも大丈夫なんだと刷り込みを行います。自分に語りかけるのです。念じると言ってもいいし、祈ると言っても構いません。
全ては好転して言っているんだ、と心で思うのです。
自分に語りかけていると、体感としていろんなことを感じてきます。感情としては楽しくなってきたりします。体感としては、呼吸が深くなってきたり、細胞がざわざわ喜んでいるような気がしてきます。あるいは苦しみから解放される気持ちが生じます。
「全て上手くいっている」というのは、おこがましいかもしれませんが真理の言葉なのです。
生きているのが当たり前だと思っているほうが間違っています。常に今も奇跡が起きているのです。あなたにとっては人生が終わったかのような辛い気持ちを経験されているかもしれませんが、それでも生きています。
辛くても悲しくても楽しくても生きているのです。しかしそれはあなたを構成しているあらゆる細胞や細菌やウイルスが絶妙に共生し、環境に対して24時間の体制で常に生きようと必死になっています。このシステムのどこかが壊れると生きていられないのです。
食べ物や飲み物を数日摂取しなくてもなんとか細胞さんたちが協力して生きていけますが、呼吸をやめたら即死です。あらゆる要素が奇跡的に絡み合ってあなたという個体が成り立っているのです。
お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんなどがいなかったらあなたは存在すらできません。あなたが生まれることをサポートしてくれた助産師さんやお医者さんもいます。社会生活をしていく上でどのくらいの人があなたをサポートしてくれているのでしょうか。
宇宙の法則、生命の法則から私たちは逃れられないのと同時に、その奇跡の恩恵に預かっているのです。敬虔なカトリックのクリスチャンは祈りの最後に「御心のなすままに」と祈ります。たとえ今苦しくても、これからどのような結果が得られようとも、神様のなされる通り受け入れます、ということなのです。何にも執着していない状態なのです。
あらゆる支えの中で今こうして生きている瞬間というのは、「全て上手くいっている」証拠ではないでしょうか。
上手くいくしかないのです。私の人生は最悪だ、と考えるのも心次第です。いかようにも解釈はできます。であるならば全て上手くいっていると考えた方がいいのではないでしょうか。
否定的思考が生じてきたら放っておいて軽く手放すこと
以上のようにステップ1とステップ2を順調に踏んでいくと、否定的思考が生まれてきても、気にならなくなります。依然として嫌な気持ちになったり想像したりすることもありますが、以前ほどとらわれなくなってきます。
それは客観的に冷静に自分の気持ちを受け入れられるようになったからであり、いつでも大丈夫だ、と脳を再プログラミングしてきた結果なのです。新しい神経回路網が作られています。
とはいうものの、人間の脳の構造上、嫌な記憶や失敗した記憶というものは記憶しやすい構造になっているのです。
子供の頃になんども怪我をして転んだ記憶があるからこそ、転ばないように気をつけることができ、身体をコンロトロールできるのです。嫌な気持ちや失敗の記憶は脳にインプットされやすいからこそ、人類はあらゆる知恵や技術を創造し、哺乳類の中では弱いにも関わらず食物連鎖の頂点に立つことができているのです。失敗の記憶が人類をここまで進化させてきたと言っても過言ではありません。
嫌な気持ちにとらわれなくなったら、嫌な気持ちが湧こうが湧くまいが関係ないことですよね。嫌な気持ちが湧いていることを認めつつも冷静にとらわれることなく日常生活を送れるようになります。嫌な気持ちを問題解決するためのエネルギーに変換できるようになるのです。
つまりステップ1がとっても上手になった段階がステップ3なのです。このサイクルに入れば、ステップ1からステップ3を繰り返すことになります。ステップ2は自分の好きな言葉に変えてもいいでしょう。
心の傷がだんだん癒えてきたら、新しい目標や目的、生きがいなどが見えてきます。それを達成するために自分に語りかけることも可能です。
あなたの人生のゴールを達成するためにもこのステップを活用することができます。
終わりに
心を管理するために、プラシーボ効果とノーシーボ効果について説明し、実践的な内容にまで踏み込んできました。
心次第だということをひたすらに主張してきましたが、何も現代医療を否定しているわけではありません。医療というのは体の管理においては天下一品です。体の管理のプロに体のことは任せた方がいいのです。
問題は、体の管理のプロに心まで預けてしまった結果、本来自己管理するべきものがないがしろにされてきたのです。そのツケが医療体制や医療問題として起きているということなのです。お医者さんたちはもちろん臨床家ですから臨床心理としての診察も学んではいますが、得意分野は体の管理です。そもそも心の管理を他人に預けてしまうということが間違っています。それでは新興宗教の教祖に帰依してしまっていることとなんら変わらないと思います。
現代医療の現場では、患者さんは知らず知らずにお医者さんに全て丸投げになってしまっているのです。それは荷が重いというものです。
医療従事者も人間ですから神ではありません。心の管理ができるわけではありませんから、無理を言ってはなりませんし、期待してもいけません。
あなたの心の管理者はあなたしかいません。
そのことを忘れずに取り組んでいけば必ず人生は上手くいきます。
社会はあらゆる手法を使ってあなたの心を洗脳しようと躍起になっています。いつでも心を清らかに保てるように、心の管理者としての責任を持って生きましょう。
気功は心の管理にとても優秀なツールとなります。意識をどこに置くかという訓練ですので、今回紹介したステップを実践するためのパワーも与えてくれます。
あなたの人生にぜひ気功を取り入れてみてはいかがでしょうか。