気功やヒーリングをしているのに、なぜか逆に疲れる
気功やヒーリングをしているのに、なぜか逆に疲れてしまう。施術をした翌日、自分の体がだるい。あるいは、気功をちゃんと続けているのに、朝から体が重い。ちゃんと食べているのに、疲れが抜けない。——そういう経験は、ありませんか。
そうすると私たちは、たいてい「体が弱ってきたんだ、もっと鍛えなきゃ」「栄養を足さなきゃ」と考えます。でも、今日いちばんお伝えしたいのは、これです。その疲れは、体が弱ったからではなくて、頭を使いすぎて、エネルギーが漏れているだけかもしれません。
実はこの原因、多くの場合、頭を使いすぎていることが、エネルギーの消耗につながっているんですね。だとしたら、やることは”足す”ことではなく、むしろ逆なんです。今日は、その話を、ゆっくりしていきます。
頭を使うほど、体の土台のエネルギーが削られる
たとえば、たいして運動もしていないのに、一日中デスクで知的な仕事を続けると、夕方には体がぐったり疲れますよね。あの体の疲れを、東洋医学ではどう見るか。
私たちの生命エネルギーには段階があって、いちばん土台にあるのが「精(せい)」です。細胞やDNAといった、命の物質的な土台のこと。生命エネルギーを、東洋医学では**精・気・神・虚(せい・き・しん・きょ)**という四つの階層で捉えます。車にたとえると分かりやすいと思います。精は車体そのもの。気はエンジン、動力源。神は運転手——理解する、思考する、感情が動くといった、心のはたらき。そして虚は、いちばん高い自在の境地で、仏教でいう「空(くう)」に近いものです。土台の「精」があってこそ、氣は巡っていきます。
ところが、頭を使おうとすると、体はそのエネルギーを頭のほうに回そうとして、いちばん大事な”精”を削っていく。つまり、頭を使えば使うほど、体のエネルギーを消費してしまう構造になっている、と東洋医学では考えるんですね。
東洋医学のいちばん古い、バイブルと呼ばれる『黄帝内経(こうていだいけい)』に、こういう言葉が残されています。「恬淡虚無(てんたんきょむ)なれば、真気これに従い、精神内に守る、病いずくんぞ来たらん」。
これはどういうことかというと——思い込みや、悩みすぎ、考えすぎ。これがあると、本来、私たちの心と体を、内も外も守ってくれている氣のオーラ、これが薄くなってしまう。すると、外からの刺激に侵入されやすくなる。免疫のはたらきも落ちて、体調を崩しやすくなる。症状も出やすくなり、慢性的なものはひどくなっていく。逆に言えば、この”思い悩みすぎ・考えすぎ”をどう管理していくかが、心と体の健康を守り、エネルギーの消耗を防ぐ、いちばん有効な方法なんだと、古典にはっきり書かれているんです。
“足す”だけでは、穴のあいたバケツ
ここで一つ、大事なことを言い添えておきます。栄養をつける、運動をする、しっかり眠る——この食事・睡眠・運動は、もちろん気功のなかでも、すごく大事なことです。ここは外せません。でも、実はですね。食事も運動も睡眠も大事だけれど、もっと一番大事なことがあるんです。それが、今日の話です。
多くの人は、この”頭の使いすぎ”という原因に気づいていません。原因に気づかないまま、良かれと思って足していく。栄養を足す、運動を足す、気功の技をもっと足す。でも、たとえるなら——穴のあいたバケツに、水を注いでいるようなものなんです。せっかく食べ物や睡眠で元気を充電しても、頭の中の考え事が止まらないかぎり、バケツの穴から、どんどんエネルギーが漏れていく。
そうすると、プラスよりもマイナスのほうが大きくなる、悪循環に入っていきます。この頭で操作するのを止めないかぎり、いくら水を注いでも漏れ続けて、どれだけ気功のワークをやっても、身についていかない。「こんなに頑張っているのに、なぜ整わないんだろう」と。まず、この穴をふさぐことが先なんですね。
これは、私自身の話でもあります。開業したての頃、私は「目の前の人をなんとかしてあげたい」と、一生懸命イメージをして、遠くの人に気を送っていました。ところが、そうやって頭を過剰に使って施術すると、翌日、動けないくらいぐったりする。人を癒すはずが、自分のほうが体調を崩してしまう。一度や二度じゃないんです。頭を使ってイメージで”操作”しようとすればするほど、自分の精が漏れて、消耗していたんですね。
妄想は”止める”のではなく”引っ張られない”
じゃあ、頭の使いすぎを、どうすればいいのか。ここで一つ、大事な訂正をさせてください。考えや妄想は、”止める”ことはできません。無理に止めようとすると、かえってそれにとらわれてしまう。
そうではなくて、その妄想に”引っ張られない”。引っ張られてしまうとエネルギーを消耗するので、引っ張られずに、一歩引いて自分を見る、という視点をつくっていく。まさに、マインドフルになる、ということです。
私たちはどうしても、頭に浮かんでくる過去や未来への思い煩いに引っ張られて、我を忘れてしまう。川の流れに流されるように、エネルギーが漏れていく。そうやって振り回されるたびに、漏れていくんですね。だから、川岸のそばに立って眺めるように、「あ、今、自分は過去に起きた出来事にとらわれているな」「まだ起きてもいない未来を、思い煩っているな」と、一歩引いて、自分を見る。この、一歩引いて自我を眺めている視点——そこが、本来の自分なんです。ここに戻れるようになると、漏れていた穴が、少しずつふさがっていきます。
氣が味方につく”氣功師体質”へ
そして、ここがおもしろいところなんですが——この「一歩引いて自分を見る」ができるようになることは、“氣功師体質”をつくっていくための、大事な方法の一つなんです。
氣功師体質ができてくると、氣を無理に操作しようとしなくても、氣のほうから、勝手に味方についてくれる。大量のエネルギーが、自分の中に流れ込んでくる。そうすると、遠隔の気功でも、対面のヒーリングでも、施術のたびに自分が疲れるんじゃなくて、相手も元気になるし、自分も元気になれる。お互いに笑顔になれる。そういう在り方に変わっていくんですね。
まとめ ― まず、一歩引いて自分を見る
今日いちばんお伝えしたかったのは、これです。疲れが抜けないのは、体が弱ったからではなく、頭を使いすぎて、大事なエネルギーが漏れているから。
だから、まず”足す”のを少し脇に置いて、一歩引いて、自分を見る。穴のあいたバケツの、その穴をふさぐことから始める。氣は、力ずくで操作するものではなく、味方につけていくもの。その第一歩を、今日から、静かに始めてみてください。



