がんに対する治療法は、抗がん剤、放射線治療、外科手術が標準治療とされています。がんの治療法は確立されているかのように見えますが、未だに日本人の死亡原因の一位は悪性新生物です。
現在は科学のパラダイムシフトが起きています。分子生物学では生命は情報現象であるということがわかってきています。要するに心や意識が物理的な身体の状態を決定づけているということです。
「病は気から」という言葉は正しいことがわかってきました。末期癌で余命宣告された方々が、劇的な寛解を起こしたということは数多く報告されていますが、研究論文として発表されることはなく現場の医師や医療従事者たちの間だけで知られている事実なのです。
まずは生命について最新の科学ではどのように捉えているのか少し触れ、心が身体状態を決定づけているデータを示します。その上で実際どのような方法で心にアプローチしたり、意識を変えればいいかのヒントをお伝えしたいと思います。
脳と心と身体の仕組み
生命は情報現象である
あなたはプラセボ効果をご存知でしょうか?
日本では偽薬効果として知られています。医師が「これは頭痛に効く薬です」と処方します。しかし実際はビタミン剤か、ただの砂糖の錠剤をもらって飲むと、本当に頭痛が治るというものです。
実は内科の誤審率は成績が良くても7割らしいのです。要するに3割ぐらいしかヒットを打てないということです。病名も7割は外れているのにもかかわらず、それでも薬でかなり治っています。ですから多くの病はプラセボ効果の可能性があるのです。
患者さん自身が権威ある医師がいうことだから必ず治ると確信すれば、たとえ病名が外れ、全く異なる処方箋を受けても病気は治ってしまうのです。
「病は気から」というより「病は心から」といった方がいいでしょう。心の状態はそれほど身体に対して強い力を持っているのです。生命現象である病が情報現象であるならば、その情報さえ書き換えられれば、身体がすぐに健康になるのもなんの不思議もありません。
ただし、石ころを手のひらに現象化させるのは無理です。もしかしたら可能なのかもしれませんが、それは石ころと生命体の違いです。
生命体は明らかに情報現象であるということが分子生物学の進歩のおかげで解明されています。あなたがよくご存知のDNAです。DNAに書き込まれた莫大な情報をもとに身体や各器官が物理的に形成されていくわけですから、明らかに生命は情報現象です。
なぜ赤信号で身体を停止させるのか
別な例を挙げて説明してみましょう。
道路交通法に記載されている文字情報をもとに、あなたは赤信号では横断歩道を渡らないようにインプットされています。それが習慣化されているわけです。
私が旅行で長崎市に行った時、とても驚いたことがあります。東京都内の方であれば、例えば表参道にたまにある3メートルぐらいの短い横断歩道であれば、車が来ていないことを確認できれば何人かは横断歩道を渡ります。そして何人か渡り始めるとそれにつられて渡り始めます。
しかし、長崎市の駅前にある同じ3メートルくらいの横断歩道では、表参道より明らかに交通量も少ないのに、赤信号で誰一人渡ろうとする気配すらないのです。私は気功師なので、相手が次にどう行動しようとしているのかを、ある程度気で感じることができますが、まったく誰も赤信号のルールを破ろうとしないのです。微動だにしません。フライングもせず青になった瞬間に一斉に渡るのです。
何が言いたいのかと言いますと、その土地や県民なりの常識という情報が身体の行動まで支配しているということです。当たり前のことかもしれませんが、いかに人間が情報によって支配されているかがわかると思います。
もしも病という情報に支配されてしまっているのなら大変です。いくら手術でがん細胞を切除したところで、病情報に対して心や意識が支配されたままなら、また病気になるような身体の行動を無意識にしてしまうということです。細胞自体も、「あぁ、まだ病気のままでいいのか」と病気の状態を維持しやすくなります。
例えば鬱病認定されたら、給料をもらいながら会社を休めるのです。鬱病の状態がいいと思ってしまえばずっと鬱病のままなのです。
脳がなくても生きていられる!?
そうはいっても、癌になられる方というのは、かたくなな心の習慣が染みついています。それを直すのは無理なんじゃないか?実際にがん細胞があるから無理なんじゃないか?そう思う方もいるかもしれません。例えば水頭症と呼ばれる脳細胞を水で圧迫してしまい、死に至ってしまう病があります。あなたは脳がなければ考えることすらも出来ないのではないかと考えているかもしれません。
そこで今から、ある研究結果を一緒に見ていきましょう。脳と心と身体に対する考え方が変わるかもしれませんよ。
大脳皮質を切除しても、ラットは迷路に迷わない
実験は次のようなものです。迷路内で報酬の餌を探し出すようにラットを訓練します。その後ラットの大脳皮質を少しずつ切除していく実験を行いました。
実験したラシュレー博士は当然のように思考をつかさどる大脳を切除したのだから、報酬にたどり着けいないと仮説を立てました。ところが残念なことに大脳皮質の90パーセントを除去してもラットは学習を記憶しており、迷路内の報酬の餌を探し出すことに成功しました。
一体物理的な脳という器官は何なのかを考えさせられませんか?次に紹介するのは先ほど言及した水頭症についてです。これはラットではなく人間の話なので、よりリアリティがあるともいます。
脳がない青年が大学の数学科を主席で卒業!?
水頭症は精神遅滞や他の重度の障害をきたし、死を招くことさえあります。常識的に考えると、脳はすべての臓器や神経や組織に情報を伝達する極めて重要な情報処理器官であります。その脳の大部分を持たずに、致死的な欠損があるにもかかわらず、正常に生活できている患者さんがいるというのです。
その青年はIQ126です。CTスキャンでは脳が無いに等しいと診断されています。良く見ると頭蓋骨の周りに暑さ1ミリ程度の層を成した脳細胞が覆っており、残りは水頭症同様、脳脊髄液が満たしていたとのことなのです。
このような水頭症の研究をしていたローバー博士は、600件を超える症例のデータを集め、次のことを明らかにしました。それは、脳室内の95パーセントを脳脊髄液で満ちている患者さんの半数は、重度の精神遅滞が見られたが、残り半分はIQが100を超えていたようです。
以上のことからも、決して脳や身体の状態が明らかに病的に見えても、あなたには健康で元気に過ごすことができるポテンシャルを秘めているということが分かったと思います。それを決めているのは心の状態なのです。
癌を克服する生き方
それでは、心が病を克服する上でものすごいポテンシャルを持っていることが理解できたので、そのパワーを最大限に使って病を克服する手助けになる視点を考察していきたいと思います。
「私」という意識をなくす
がんの患者さんだけに限らず、慢性的な疾患を抱えている患者さんは、自我が強いです。自我強いということは、心が硬いということなので、柔軟な思考や自由自在な意識の使い方ができないということです。病気になったということは、今までの凝り固まった習慣の蓄積の結果ということです。その習慣を少なからず変える必要があります。その時に心や意識が凝り固まった状態では難しいのです。
気功で自分の変性意識状態を自由自在に深める
普段の生活では、なるべく「私」という言葉を使わないようにするだけでも、自我意識は薄くなって、こだわりや妄想が減っていきますが、気功を一緒に実践すると「私」という意識は徐々に薄まってきます。
変性意識状態(Altered States of Consciousness)。難しく感じるかもしれませんが、実はあなたが普段生活している意識状態のことを変性意識状態と言います。では逆に変性意識状態ではない状態とはなんでしょうか?
それは禅のお坊さんの理想的な境地のことです。「私」というモノノケが妄想して情報を捏造しないように、ありのままを見て、聞いて、感じる境地のことです。物事や現象に対して一切の評価やジャッジを下さずに、物事を感じている状態のことです。
つまり、人の話を聞いたり、この記事を読んだり考えたりした瞬間に変性意識状態であるということです。「私」という変性意識状態に凝り固まっていると、固定的な観念に心が支配されて身動きが取れなくなってしまうのです。「悟りの境地」は変性意識状態から脱出した境地のことなのです。
悟りの境地まではいかなくとも、あらゆる変性意識状態を自由自在に作ることができるようになると、あらゆる自我を経験できるようになります。すると凝り固まった固定的な自我というものを意識する必要がなくなります。いろんな役割を持った自分を自分自身で作り上げることが容易になってきます。これは気功の実践で簡単に作ることができます。実際、気功の施術を受けたり養生気功を実践される患者様は、心が柔軟になり体まで軽快になっていきます。これは変性意識状態を自由自在に操ることができている一つの目安になります。
癌が治った後の自分の役割を自分で決める
少し説明が長くなりましたが、病気の原因である自我への執着を少なくすることがまず大事であるということをしっかりと理解していただきたいです。
そして凝り固まった「私」という意識が薄まってきたら、いろんな役割の自分を自由自在に決められるようになります。ということは、どんな自分になりたいかを自由自在に決められるということなのです。
癌が治った後、自分が社会に対してどのような役割を果たしたいのかを決めて、実際に行動して欲しいのです。家族に対してどういう自分でありたいのかでもいいですし、趣味でも勉強でも何か目的を持つのです。
ここで注意して欲しいのは、当たり前ですが、「癌が治った」という前提で役割を決めるということです。
よくやりがちなのは、余命宣告を受けたから、残り3ヶ月で出来ることを探す、というものです。気持ちはよくわかります。しかし、厳しい言い方になるかもしれませんが、心が身体状態を決定づけているということを考えると、それは自殺行為になるのです。「生きていきたい」という希望を抱いているにもかかわらず、心という無意識は「死」を前提に物事を考えているという矛盾に陥るのです。
「癌の完治」を前提に役割を決めて欲しいのです。すると心が身体状態を健康へと導かざるを得ないのです。生きる必要性が生まれれば、生命はそれにふさわしい身体状態を維持しようとします。これがまさにホメオスタシス(恒常性維持機能)です。
気功では他人を「健康」という変性意識状態に書き換える
健康で元気な方というのは、「健康な自分が当たり前」だと当然のように思っています。ですから少しでも体調を崩そうならばすぐさまに復活します。病気になった方は健康な状態を忘れてしまっているだけなのです。それを上手に思い出させる方法論が気功なのです。
逆に病気だった人が健康になってしまうと、自分が病気だったことを忘れてしまいます。「なんでこんなに苦しんでいたんだろう」と笑ってしまうほどです。気功の臨床の現場ではそのようなことが日常茶飯事です。
兎にも角にも自我を緩めること
「私が」「私の」という自我が生まれると、どうしても主体と客体という二元論で物事を捉えてしまい、自分と外の世界は別物であるという認識が生まれてしまいます。その認識から「好き」「嫌い」などの識別する感情が生まれ、争いや憎しみ、果ては戦争など、精神的、肉体的な緊張状態が続きます。
この執着から離れ、自分の内に平和な中心点を据え、リラックスすることで、病苦などから解放される道を歩めるようになります。
最終的にはこの自我を緩めるということです。心の状態が精神的、肉体的な健康の鍵を握っています。ということは、何も病気になったからといって落胆する必要はないのです。心はいつでも自我の解放に取り組むことができますし、身体は情報状態ですからすぐに結果が現れる人もいます。実際末期癌で明日死んでしまうかもしれないという方が、劇的に寛解する臨床例も、臨床経験豊富な医師たちは知っています。絶望することはないのです。
あなたの心であなた自身を許して、愛して、喜びを得られるように、自我を緩めていけるように、取り組んでみてはいかがでしょうか。